FDM方式3Dプリンターのフィラメントといえば、ABSやPLAが定番。そのほかには、PETGやゴム系のTPUなども有名です。
今回は、数あるフィラメントの中で、面白い特性を持ったものを紹介したいと思います。
SMP(形状記憶ポリマー)
SMPとは、Shape Memory Polymerの略で、形状記憶ポリマーです。熱によって簡単に変形できる素材で、印刷後にお湯などで55℃まで温めることで、変形させることができます。PLAと印刷条件が似ているため、比較的安定して造形できます。
SMPフィラメントは、2016年に発表されているので、目新しいものではありませんが、現在も販売していることから、それなりに需要があるのかもしれません。筆者のものづくり仲間には、SMPをよく使っている人はあまりみたことがないですが、隠れたファンがいるのかも。
用途としては、コップや花瓶みないなものを印刷して、アーティスティックに加熱変形させる?とか、頭の形状に合わせた帽子、ヘルメットを作るとか?でしょうか。なかなか思い浮かばないですね。
感熱変色PLA
PLAの中には、熱に反応して色が変化するものがあります。色のバリエーションも豊富で、PLAなので、安定造形できます。約31℃から変色開始するので、人肌でも変色します。
用途としては、子供用の玩具などに使うと面白いのではないでしょうか?レビューをみると、実際に、子供用のお風呂で使うおもちゃを製作されている方がいるようです。色が変わる必要が無いものも、とりあえず、変色PLAで作ってみると、新たな発見があるかも。
蓄光PLA
光を吸収して暗闇で光る蓄光タイプのPLAもあります。蓄光タイプのPLAは、様々なメーカーから販売されているので、バリエーションはかなり豊富だと思います。単色系から虹色系まであります。
蓄光PLA、glow PLA、夜光PLA、蛍光PLAなど、メーカーによって名称が異なります。
用途としては、とにかく光ってほしいモノですよね。いざ何に使う?と問われると具体的なシーンが出てこないのが、こういうフィラメントの面白いところ。買ってみて、使ってみて、想像力が刺激され、創作意欲が沸く。そんな造形物だけではない副次的な効果があるような気もします。
金属含有系PLA
金属含有系PLAは、その名の通り、PLA樹脂の中に金属粉末が練りこまれています。造形後に、やすりがけを行うことで、より金属らしい光沢を出すことができます。銅、青銅、鉄(着磁)、ステンレス、真鍮などがあります。お値段は少し高めです。
用途としては、エンブレムやトロフィー、アクセサリーなどがあります。
通常、金属の3DプリンターというとFDM方式ではなく、金属粉末にレーザーを当てて焼結させ造形する粉末焼結(SLS/SLM) 方式が一般的です。粉末焼結方式の3Dプリンターは数千万円レベルの非常に高価なものですので、安価なFDMで金属ライクな造形ができるのは、非常にGoodです。
また、メーカーからは、金属の特徴を逆に利用して、造形後に意図的に錆びさせてアーティスティックな作品に仕上げる手順も公開されており、とても面白いフィラメントだと思います。
まとめ
このようなイロモノ系ともいえるような、面白いフィラメントを使うと、ものづくりの幅が広がると思います。感熱変色PLAや蓄光PLAは、お値段も手ごろなので、とりあえず1つ購入して、試してみてはいかがでしょうか? 想像力が刺激され、創作意欲が沸くに違いありません。